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祝ポルナレフ復活!そして、70年代の残り香 [音楽]

 ■ミッシェル・ポルナレフについて

 

 ミッシェル・ポルナレフがいよいよ復活に向けて、本格的に動き出した。
 20~30代半ばの人にとっては、ミッシェル・ポルナレフという名前を聞いても、ピンとこないと思うが、70年代に青春を過ごした人にとっては、なんとも懐かしく、甘酸っぱさの残る名前なのだ。

 フランス語の柔らかい響と甘いメロディー、トレードマークの大きな四角いサングラス姿の彼は「シェリーに口づけ」(今だにCMで使われたりしています)「愛の休日」「愛の伝説」等、数々の大ヒットを連発。本国はもとより、ここ日本でも若い女性を中心に、絶大な人気を誇った。

 しかし、税金問題での揉め事に嫌気がさして、単身アメリカヘ乗り込み、全曲英語で歌われた「ポルナレフUSA」(75)、アメリカ映画「リップスティック」(76)のサウンドトラックを発表するが、成功とはほど遠く、以後、ポツポツと新作を発表するも、スタジオ・アルバム「カーマ・スートラ」(90)、「ライブ・アット・ロキシー」(95)を最後に、活動が途絶える。1999年にシングル「僕は世界を夢見る」を突然発表し、ニューアルバムが待たれたのだが、またしても沈黙。
 そして、時は流れて昨年秋も過ぎ行く頃、フランスのテレビ番組のインタビューに答え、年末にシングル発売後、今年の春に大々的にツアーを行い、その模様を収めたDVD、そして待望のアルバムを発表すると本人の口から伝えられた。

 そして、今日届けられたばかりの新曲「Ophelie Flagrent des lits」を、ボクは今聞いている。明るく元気で口ずさみやすい曲は、ポルナレフ健在を強く印象づけるもので、長年のファンにとっては遅れてきたクリスマス・プレゼントのようで、きっと喜びもひとしおだろう。

 ■キャット・スティーブンスについて

 

 キャット・スティーブンスもTAOの大好きだった人で、悩み多き10代に繰り返し聴いたものです。
 もともとはイギリス出身のシンガー・ソングライター。アイドルとして60年代末にデビューするも、結核を患い、芸能活動を一年間休止。再デビュー時には髭を蓄え、ラブ・ソングから現代社会への不満を訴えるような歌まで、ガラリと作風を変えての登場だった。

 「白いバラ」(70)「農夫にはお茶を」(71)「ティーザー・アンド・ザ・ファイヤーキャト」(71)「仏陀&ザ・チョコレートボックス」(74)等の傑作を発表するも、1978年に突如引退。以後、YUSUF ISLAMと改名し、イスラム教普及のための活動に専念。イスラム教についてのアルバムも数枚発表している。昨年末には、POP SONGとして実に78年以来となる「An Other Cup」を発表し、キャット・スティーブンス時代と何ら変わることのない魅力的な歌声を聴かせる。

 結核からの復帰第一作「白いバラ」の中で彼は<I don't wanna be a pop star>と歌い、後期のアルバム「Izitso」(77)でも同様に<I never wanted to be a star>と重ねて歌っている。人気の上昇と共に、セールスに対するプレッシャーと殺人的なスケジュールが、次第に彼の精神を蝕んでいったのだろう。そして時代はパンクの波に覆われ、シンガー・ソングライターたちは壊滅状態に追い込まれてゆく。
 当時から人間が人間らしく生きるには? 幸福とは? 宗教とは? と、激しく自問自答しながら音楽活動を行ってきたものの、徐々にPOP STARでい続けることが苦痛になっていったのは、容易に想像出来る。

 彼の代表作「ピース・トレイン」の歌詞はこんな感じだ。

 最近、僕は幸せなんだ。
 何か良いことがやってくるって考えているからね。
 それがもう始まっているって信じられるんだ。

 最近、僕は嬉しくてつい微笑んでしまうんだ。
 そして、世界が一つになることをと夢見ている。
 いつかきっとそうなるよ。

 暗闇のはじっこに行けば、ピース・トレインに乗れるんだ。
 ピース・トレインよ、この国を導いて。
 そして僕を故郷に連れて行っておくれ。  (訳TAO)

 ■ケイト・ブッシュについて

 

 一昨年、12年ぶりの新作「Aerial」を発表したケイト・ブッシュ。
 ピンク・フロイドのデイヴ・ギルモアに見出され、若干19歳の少女が作ったとは信じ難い大傑作アルバム「天使と小悪魔」(78)を引っさげ、鮮烈なデビューを飾る。
 彼女のデビュー曲「嵐が丘」のPVを初めて見た時の驚きを、なんて表現したら良いのだろう。まだ少女の面影を残した顔立ち、憂いを帯びたハイトーン・ボイス、パントマイムで培われた見事な表現力、そのどれもが実に新鮮で、とんでもないアーティストの登場に胸が高鳴ったものだ。

 有り余る才能を吐き出すように「ライオンハート」(78)「魔物語」(80)と、どれもが傑作と呼んで遜色のない作品を次々に送り出してゆく。それ以降も脅威の72トラックで録音された「ドリーミング」(82)、ピーター・ガブリエルとのデュエット「Don't Give Up」(86)等、着実に表現の幅を広げ、絶大な人気を誇った。
 
 しかし、残念ながらこの当時、ボクの中でロックに対する不満が徐々に高まり、ついに爆発してしまった。当時流行った "産業ロック" と "打ち込みの音" に嫌気が差し、長年連れ添ったロックとの決別を宣言。LPレコードをすべて売り払い、以後10年に渡り、ジャズに没頭してしまう。
 そんな個人的事情で、ケイト・ブッシュの新作も、手に取ることがなくなってしまった・・・。
 
 ここ5~6年はワールド・ミュージックを中心に、昔聴いていたロックも素直に懐かしく思え、再び耳にする機会も増えた。

 そんな中、先日深夜にYouTubeを眺めていたところ、たまたまケイト・ブッシュの映像が出て来て、なんの気なしにクリックしてみた。その瞬間、一気に昔にタイムスリップ。再び19歳のケイト・ブッシュの姿を目の当たりにして、あまりの懐かしさにウルウルしてしまった。まるで机の奥に仕舞い込んでいた初恋の女性の写真を、偶然発見してしまったような・・・。

 ■そして、今・・・思う

 それにしても、ポルナレフ62歳、キャット・スティーブンス58歳、ケイト・ブッシュ48歳(ちなみにデビッド・ボウイも、めでたく60歳を迎えたそうです)。ついつい考えさせられる年齢です。
 一時代を極めたスターたちの晩節は、どのような形が最良と言えるのでしょう?
 これまでの栄光を汚さず、尊厳を持って最後を迎える(迎えさせられる)関係。アーティストにとってもファンにとっても・・・。そして最後は、微笑みながら握手して、、、さよならだ。

 人は老いる。老いは誰にとっても平等だ。それは我々も、STARたちも一緒。
 ならば黄昏の時を共有し、美しい想い出とともに、いつまでもありたいと願う。 


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