ボブ・マーリィ詩集(前編) [音楽]
わたくし、つい最近まで知りませんでした。こんな本が出版されていたなんて。
テレビ、雑誌の類から距離を置いていると、とんと情報に疎くなるのはいたしかたないこととは言え、これを忘れちゃあいけませぬ。
その本とは、『VIBES/from BOB MARLEY』(宝島社 1900円+税)。
帯には "ボブ・マーリィ、魂のバイブル"~ 人々の魂に届けた伝説の新訳詩集。多くの声に答えて、ついに復活!~ と記載されています。
そうです、神の教えがまとめられた、まさしく新訳ならぬ<新約聖書>なのです。
内容は、アルバム『CATCH A FIRE』から『UPRIZING』までの歌詞がそのまま網羅されている。開けば神の言霊が!
まだラジオが貴重な情報源だった時代。風呂場に置いたラジオから一風風変わりな曲が流れた。それがエリック・クラプトンの歌う「I SHOT THE SHERIFF」だった。
ツッチャ、ツッチャ、という奇妙なリズムに乗って "I SHOT THE SHERIFF" というショッキングな歌い出しに、ノホホンと湯船に浸かっていたアホ中学生の心がザワついた。
"オマワリを撃っちまった" だと !? あまりに生々しい歌詞に耳を疑った。
残念ながらあとの歌詞は理解出来なかった。それでも冒頭の言葉が何度も頭に浮かび、そのまま居ついてしまった。まるで呪文のように。 "I SHOT THE SHELIFF・・・I SHOT THE SHERIFF" なんて歌だ・・・。
後日、それがウエイラーズというジャマイカのグループであることを知る。歌っているのはボブ・マーリィ。
ウエイラーズ? ジャマイカ? ボブ・マーリィ? 知らないことだらけだった。と同時に、世の中にはまだ自分の知らない世界が存在する、そう認めざるを得なかった。
「I SHOT THE SHERIFF」が収録されたアルバム『BURNIN'/The Wailers』のジャケットは、どう見ても一筋縄ではいかない危なげな男たちの顔が描かれ、危険な雰囲気をプンプンと漂わせていた。
さらに収録された10曲は、どれも強烈な響きを持ち、拳のように聴く者に容赦なく叩きつけられる。冒頭の一曲目からして、こんな感じだ。
目を覚まして立ち上がれ
立ち上がれ、お前自身の正義のために
目を覚まして立ち上がれ
戦いをあきらめるな (「GET UP, STAND UP」より)
オレ自身の戦い・・・って、なんだろう?
まだ10代、漠然とした不安と、ジリジリと照りつけるような焦燥感は、日常どこにでもあった。虚栄心と未熟さの間で、心は絶えず揺れ動く。そう、オレ自身の戦い。
この曲だけではない。すべての曲が挑発的だ。この姿勢は終始一貫して変わらない。
燃やして 盗め 今夜
燃やせ すべての汚れたものを
燃やせ すべての間違った物事を (「BURNIN' AND LOOTIN'」より)
曲に乗せて歌われる、この激しい苛立ち、憎悪の深さに打ちのめされるばかりだった。
これが現実だ、お前はちゃんと目を見開き、直視しなけりゃいけない。目を逸らしてはいけないんだ!
そして、お前はお前自身の戦いを開始するんだ!
頭をガツンと殴られた気分だった。
注)訳=TAO
ラスタマンたちの愛するレゲエは、ジャマイカのリアルが詰まっています。
特にボブ・マーレィ(自分のブログでは〝マーレー〟と表記していますが)は、
ラスタファリの信仰を色濃く表現した作品を多く残しています。
リディムのいいレゲエやダブ好きの自分も、
ボブの曲を聴く時だけは、背筋がぴんと伸びます。
古い記事&こんな真面目な記事につけるのは恐縮な、
のほほんとしたフェスティバルの話ですが、ジャマイカを愛する
人たちの集まった素敵なフェスなので是非知って頂きたいと思い、
トラックバック入れさせて頂きました。
(この他にもONE LOVEフェスについては2、3本書いてます。)
by (2007-06-23 21:01)
deacon_blueさん、いつも目に留めていただいて感謝しております。
by TAO (2007-06-23 23:18)
ぞうの国のあるじさんへ
レゲエを通して見えてくるものって、やっぱりあると思います。
それは世界中に広がる貧困や差別等々。
しかしその一方で、我々の豊かな生活が貧しい国の上に築かれている
のも事実。
それを知りながら、当然の如く享受している自分もいる。
なんとも矛盾した話なのだが・・・。
堅苦しい話は止めにして、"まあ、なんとかなるさ"っていうおおらかさは見習いたいものです。
あ~、腹へってきた。
by TAO (2007-06-23 23:32)