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祝・ルイス・フューレイ来日!! [音楽]

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                      『ルイス・フューレイ』(1974)


 青天の霹靂といおうか、驚天動地といおうか、何の前触れもなく突如として実現したルイス・フューレイの来日。いったい誰がこんなことを想像し得ただろうか?

 ロック史においてもほとんど無名に近いこのアーティストは生涯で3枚のアルバムしか発表していない。それも3枚とも70年代。もともとカナダ人なので、その時点でメジャー道から零れ落ちているのだが、ニール・ヤング、ジョニ・ミッチェル、ザ・バンド、レナード・コーエンの例もあるので、カナダ人だからって売れないわけではない。

 ただ、カナディアン・アメリカン的な音作りによって受け入れられたヤングやバンドとは違い、フューレイの音楽にはアメリカ臭さは皆無。逆にフランス的な音を特徴とする。もともとカナダ人はフランスからの移民だったりするので、その意味では自身のルーツを意識した音作りがなされている。というか、フランス風のキャバレー・ソングのあの猥雑な雰囲気がどうやらお好みらしい。

 1974年に発表されたファースト・アルバム『ルイス・フューレイ』は、プロデュースにジョン・リソワを向かえ、ヨーロッパ的な陰のある湿り気を帯びた音となっており、ベース+ドラム+ギターのバンド・サウンドとはかなりかけ離れたものとなっている。フューレイがヴィオラ?を弾くこともあり、弦楽器を効果的に使ったサウンドだ。

 そしてその音以上に個性的なのが、歌詞の世界。
 彼が一躍マニアから注目を浴びることとなったのが、ファースト・アルバム『ルイス・フューレイ』に収録された「ハスラーズ・タンゴ」。当時アナログLPのA面1曲目収録。

 「HUSTLER'S TANGO(男娼のタンゴ)」

 オレをレイプしたいって?
 それには金を払わなきゃね
 準備はいいさ
 あんたは天使とからむんだ

 取引したいのかい?
 オレの友達よ 兄弟よ 恋人よ
 オレと一緒に汗をかくんだろう?

 さあ、決心しちまいなよ、こっちへ来るんだ
 オレの魔方陣の中へ、さあ!

 欲しいものを手に入れるには
 取引しなくちゃ
 オレが欲しいなら
 取引しなくちゃね                              (訳 TAO)

 読めばお分かりのように、何とも強烈な歌だ。
 男娼が客に声をかける様子を歌った曲である。
 歌に18禁があるなら、これなどまさにその部類に入る。それも<男>と<女>ならまだしも、<男>と<男>の隠微で濃密な世界なのだ。これを最初に聴いた時は唸りましたよ、さすがに!

 このアルバムにはそんなヤバ過ぎる歌と、無垢なるゆえに傷つきやすい血のしたたるような男女のラブ・ソングが収められていて、どの歌も完成度は極めて高い。個人的には生涯のベスト10に確実にランク・インすると言えば、評価の度合いも理解していただけると思う。

 本国カナダでも彼のアルバムは現在未発売。
 国内でもすでに廃盤のため、AMAZON では超高値で出品されている。
 まさにカルト・シンガー中のカルト・シンガーなのである。

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