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『星空のステージ』(ポルナレフ・イン・U.S.A) [音楽]

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                 『星空のステージ/ミッシェル・ポルナレフ』(1975)


 2007年末、突如のフランス凱旋公演、それも実に34年ぶりということで本国はおろかここ日本でも話題をさらったミッシェル・ポルナレフ。
 そのライブ映像についてはまた改めて触れるとして、ここでは1975年に発表された『星空のステージ(原題:MICHEL POLNAREFF)』を紹介したい。

 マネージャーの脱税事件もあり、フランスを抜け出したポルナレフは単身アメリカに乗り込み、わざわざ自分の名前をタイトルにしたアルバムを発表する。内容はアメリカ市場をにらみ、当然全曲英語で録音された。
 また、L.Aを中心に活躍するなうてのスタジオ・ミュージシャンを大胆に起用するあたりからも、ポルナレフの並々ならぬ熱意がヒシヒシと感じられた。
 しかし、結果は惨憺たるもので、結局、全米チャートの100位にも入らなかった。

 『ポルナレフ革命』(1973)でファンになってから、時代を遡って聴きまくった早熟少年のワタクシにとって、フランス語の響は未知なる原語としてとても魅力的であった。
 同時期、フランス映画(アラン・ドロン、トリフォー、ブリジット・バルドー、イザベル・アジャーニ、禁じられた遊び、冒険者たち、ルイ・マル等)の影響、そしてポルナレフ以外にも個性溢れるフランスの歌手たち(セルジュ・ゲーンズブール、ジェーン・バーキン*、フランソワーズ・アルディ、ジュリアン・クレール、ジャック・ブレル等)にも魅せられた時期だった。
 そんな中で、一人フランスからアメリカへ飛び出してゆくポルナレフが、無謀ゆえ、とても魅力的に見えた。

 しかし、発売されたばかりの『星空のステージ』に針を落としてみたものの、どうもこれまでと勝手が違うのだ。それはいったいなんなのだろうと考えるに、フランス語と英語の言葉の違いはもちろんありはするが、そんなところではなく、ポルナレフのボーカルというより、バックの音に強い違和感を感じてしょうがなかったのだった。
 フュージョン系ミュージシャンの出す大味な音とポルナレフのボーカルがまるで水と油。それに合わせたかのように曲自体もどこか繊細さを欠いていて、音同様に大味になってしまっているような気がする。

 そしてもう一つ、アメリカ人リスナーの立場に立ってみると、ロックではないし、単なるポップスでもない、ましてやシンガー・ソング・ライターとも違う、なんとも形容し難い音に聴こえたのではないだろうか? 隠し味にカントリー・テイストの音をはさんでみても、当然の如くまったくの別物だし。
 料理に例えるなら、ビッグマックかな? でもちょっと新発売だし怖いけど食べてみようかな、パクッ! ん? なんじゃこりゃ、の、ライスバーガー、きんぴらごぼう入りみたいな。それでもってケチャップもピクルスもはさまってないし・・・。
 たぶん、初めてこのアルバムを聴いただいたいのアメリカ人はそう思ったに違いない。アメリカでレコーディングし、全曲英語、L.Aの凄腕のミュージシャンが演奏していても、まったくアメリカの音ではないからだ。フランスなまりの強い英語、でもそれって意味はわかるけどちゃんとした英語じゃあないよね・・・。

 権利関係の問題で長らくCD化されなかたポルナレフの作品を数十年ぶりにこうして聴き直してみると、こちらも精神的に多少は大人になっているので、当時のようにそれほど目くじらを立てることもなく、随所に垣間見られるポルナレフ節がけっこう気持ちよく思えて、年を重ねるのもあながち悪くもないか・・・とか、別の意味で感心してしまうのだった。

 PS.ジェーン・バーキンはイギリス人ですが、ゲーンズブール(今はゲンズブールですかね)との諸作(私生活共々)を考えると、フランスのアーティストと考えるのが妥当だと思います。

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