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『太陽と下着の見える町』(庭劇団ペニノ) [演劇]

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 劇団を率いるタニノクロク氏は現役の精神科医だとか。
 だからなのだろうか、不穏な精神の活発な運動(=妄想)を舞台上に、目に見える形で表出させる。
 過去作品を観ていないので断定は出来ないが、この『太陽と下着の見える町』は確かにアホっぽさ満載の妄想大図鑑となっている。

 ここで繰り広げられる妄想とは、パンツについての妄想。
 作品説明にも「究極のパンチラを求めるスペクタクル」(笑)とうたっているように、果たして舞台上でパンチラは見られるのか? それとも見えそうで見えない(それもまたパンチラの本質ではある)のか?
 とってもとっても気になって、こりゃあ劇場に足を運ばにゃあなりませんな! と、一人で納得するのだった。

 作者の妄想が実体化された舞台ゆえ、明確なストーリーはない。
 ないのだが、精神病院と一般家庭が同居する超巨大ビルを設計した男が、そこの病室で自殺していたエピソードを、多種多様な冒頭のイメージの嵐の中の一断片として提示した後、病室で何やら一人でブツブツ喋っているところから開始される。
 同時に他の病室にいる、自分を本の主人公だと思い込んでいる女、噺家を目指す口数の減らない女、旅行と食べることが好きなマゾのデブ男、受験勉強に励む男、無邪気に車遊びをする少女の話が、細切れでポン、ポン、と、提示される。
 また、上の階では、パンティの歴史について熱く語る下着マニアの青年がいたりする。その前をミニスカートで横切る彼女のスカートが風でそよぎ、、、、で、パンツが見えたりしちゃう!!!
 これは喜んでいいのか、それとも難しい顔をしたまま、パンチラに隔された暗喩を読み解くが如くの、思慮に富んだようなポーズを保つべきなのか、一瞬躊躇(ちゅうちょ)するも、ああ、やっぱりパンチラはいいなあ~、と、素直に喜んでしまう自分がいることだけは隠せない。

 パンチラ、バンザーイ!!!

 精神病院と一般家庭が同じビルの中に隣合わせで存在する意味、
 少女に訪れる死神の意味、
 病院の患者全員に配られる赤い本とそのヒロインとの関係、
 ビルの設計者はなぜハイな気分になって幸せそうに死んだのかとか、
 登場人物一人一人をよく眺めれば、それだけでそれ相応の解釈が出来る奥深い舞台なのだが、ここではそれは省略(すいません・・・)。
 パンチラという色物を出汁にして、人間の持つ様々な心のあり様を、それもまったくキワモノに落ちずに描いたこの作品は、観れば観るほど面白さ満載の作品となった。
 もちろん、色とりどりのパンチラもそれに一役買っていることは、改めて付け加える必要もあるまい。

 
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