『美しきラビットパンチ』(ゴジゲン) [演劇]
ゴジゲンスタイルも完成の域にちゃくちゃくと近づいているのを思わせる出来。
それでもって、
「新趣向としてミュージカル仕立てもあります!」
的な、やっぱりてんこ盛りが丼から溢れてしまう、やけくそのてんこ盛りなのだった。ああ、もう食えねーっ!!!
突然ですが、森田公一&トップギャランの永遠の名曲『青春時代』を引き合いに出すまでもなく、青春時代が輝いていたなんてのは、それが終わってしまった者の極度に美化された感傷の中の産物なわけだが、ゴジゲンの芝居を観るたびに、そんなことを思い浮かべないではいられない。
少なくともここには、負け犬どもの青春しかない。もしかしたら<青春>の名を口にするのは、彼らだけの特権であるような錯覚すら覚える。ああ、なさけね~ぇ・・・。
★
STORY:部隊は高校のボクシング部。
いじめられっ子のもっすー、彼を連れて来たがゆえに入部させられてしまうずん、なぜか太っているコーチ、いまどきまっすぐ過ぎるスポーツボーイのナオキ、昔は強かったのに、ある理由でへなちょこになってしまった服部、地域一番の不良になりたいトム等、練習の虫のナオキ以外、どいつもこいつ癖のあるヤツばっかり。
練習はサボる。やりたくないならさっさと部を辞めればいいのに、それもせず、ただだらだらとそこに集まり、いかに練習をサボったかを面白おかしく笑いあうばかり。そんな中、もっすーは強くなりたいと練習に参加しようとするも、はなから相手にされず。
それでも大会は10日後にせまり、ナオキと彼をライバル視するトム、他に該当者なしのため不本意ながら選ばれてしまったずんの3人が大会に出場することとなった。
一方、彼らの男子校に他校の生徒が集まることになり、当然そこには女子生徒もいて、、、ということは女子トイレの数が足りず、男子トイレを解放するはず、、、なので、ボクシング部のトイレも使用可となり、、、だから!!! 覗き穴を壁に掘り、その日を待つが、運悪くボクシング大会と重なってしまったものだから、さあ、たいへん・・・。
★
まあ、ひとことで言ってしまえば、しょーもない、ダメダメ学園物語なのだ。
ここには感動熱血学園教師などいない。いるのはやってくる他校の女子生徒の肛門をどうしても見たいコーチだったりして、この設定だけでテレビドラマに成りようもない困りもの。そんなコーチと一緒になって、元来は強いはずなのに、ひょんなことから挫折してしまった服部は、自分の中にあるすべての存在意義を、覗き穴の先のまだ見ぬ光景へとねじ込んでゆく。理由はわからなくもないが、なんとも情けない・・・。
男子高校を舞台にすることで、世間に認知された青春群像劇を笑い飛ばすゴジゲンなのだが、じゃあ、笑い飛ばしてクールに決まるほどの自己もなく、だもんだから、その場限りの笑いと、無理矢理なマイナス思考の連帯感だけでつながった<仲間>と、傷の舐め合いをただただ繰り返すだけなのだ。
自分たちが取るに足らない存在でしかないことにとっくに気がついてはいる。
「でも、気づいてしまったからといって、じゃあ、どうしろって言うんだよ!」
なのだ。
「人はそれでも生きてゆかなければならないのなら、バカを装って道化にでもなるしかないじゃないか!」
そんな独り言が聞こえてくる。
だからみんなハイテンションで、無理矢理笑って、くだらないことに夢中になるフリをするんだろう。
でも、フッと力が抜けた時には、笑いの何倍もの寂しさに襲われる・・・。それが嫌だから、無理しても笑うのさ・・・。
そこから導き出される、根拠のない自己肯定の中に、一瞬、未来を見るが、それもつかの間、醒めてしまえば、そこは荒野がただ広がっているばかり。
足を向ける先すらわからず、ただ立ち止まって、うろたえるしかない<青春物語>。
『美しきラビットパンチ』のタイトルは、そのまま『哀しきラビットパンチ』でもある。それを美しいと呼べるのは、20年後の生きながらえた者だけの特権に違いない。
それでもって、
「新趣向としてミュージカル仕立てもあります!」
的な、やっぱりてんこ盛りが丼から溢れてしまう、やけくそのてんこ盛りなのだった。ああ、もう食えねーっ!!!
突然ですが、森田公一&トップギャランの永遠の名曲『青春時代』を引き合いに出すまでもなく、青春時代が輝いていたなんてのは、それが終わってしまった者の極度に美化された感傷の中の産物なわけだが、ゴジゲンの芝居を観るたびに、そんなことを思い浮かべないではいられない。
少なくともここには、負け犬どもの青春しかない。もしかしたら<青春>の名を口にするのは、彼らだけの特権であるような錯覚すら覚える。ああ、なさけね~ぇ・・・。
★
STORY:部隊は高校のボクシング部。
いじめられっ子のもっすー、彼を連れて来たがゆえに入部させられてしまうずん、なぜか太っているコーチ、いまどきまっすぐ過ぎるスポーツボーイのナオキ、昔は強かったのに、ある理由でへなちょこになってしまった服部、地域一番の不良になりたいトム等、練習の虫のナオキ以外、どいつもこいつ癖のあるヤツばっかり。
練習はサボる。やりたくないならさっさと部を辞めればいいのに、それもせず、ただだらだらとそこに集まり、いかに練習をサボったかを面白おかしく笑いあうばかり。そんな中、もっすーは強くなりたいと練習に参加しようとするも、はなから相手にされず。
それでも大会は10日後にせまり、ナオキと彼をライバル視するトム、他に該当者なしのため不本意ながら選ばれてしまったずんの3人が大会に出場することとなった。
一方、彼らの男子校に他校の生徒が集まることになり、当然そこには女子生徒もいて、、、ということは女子トイレの数が足りず、男子トイレを解放するはず、、、なので、ボクシング部のトイレも使用可となり、、、だから!!! 覗き穴を壁に掘り、その日を待つが、運悪くボクシング大会と重なってしまったものだから、さあ、たいへん・・・。
★
まあ、ひとことで言ってしまえば、しょーもない、ダメダメ学園物語なのだ。
ここには感動熱血学園教師などいない。いるのはやってくる他校の女子生徒の肛門をどうしても見たいコーチだったりして、この設定だけでテレビドラマに成りようもない困りもの。そんなコーチと一緒になって、元来は強いはずなのに、ひょんなことから挫折してしまった服部は、自分の中にあるすべての存在意義を、覗き穴の先のまだ見ぬ光景へとねじ込んでゆく。理由はわからなくもないが、なんとも情けない・・・。
男子高校を舞台にすることで、世間に認知された青春群像劇を笑い飛ばすゴジゲンなのだが、じゃあ、笑い飛ばしてクールに決まるほどの自己もなく、だもんだから、その場限りの笑いと、無理矢理なマイナス思考の連帯感だけでつながった<仲間>と、傷の舐め合いをただただ繰り返すだけなのだ。
自分たちが取るに足らない存在でしかないことにとっくに気がついてはいる。
「でも、気づいてしまったからといって、じゃあ、どうしろって言うんだよ!」
なのだ。
「人はそれでも生きてゆかなければならないのなら、バカを装って道化にでもなるしかないじゃないか!」
そんな独り言が聞こえてくる。
だからみんなハイテンションで、無理矢理笑って、くだらないことに夢中になるフリをするんだろう。
でも、フッと力が抜けた時には、笑いの何倍もの寂しさに襲われる・・・。それが嫌だから、無理しても笑うのさ・・・。
そこから導き出される、根拠のない自己肯定の中に、一瞬、未来を見るが、それもつかの間、醒めてしまえば、そこは荒野がただ広がっているばかり。
足を向ける先すらわからず、ただ立ち止まって、うろたえるしかない<青春物語>。
『美しきラビットパンチ』のタイトルは、そのまま『哀しきラビットパンチ』でもある。それを美しいと呼べるのは、20年後の生きながらえた者だけの特権に違いない。
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