アンリ・ル・シダネル展 [アート]
Henri と記して、アンリと読む。Hを発音しないんですね。Hermes=エルメスと同じ。
と、まあ、そんなことはどうでもよいのですが、休日に久々に美術館を訪れた。観ようかどうしようか迷っていた「アンリ・ル・シダネル展」を観るために。それもの最終日(2月5日)。
場所は、京浜東北線北浦和駅下車、埼玉県立美術館。
都内の美術館と違い、どっと人が押し寄せることのない、わりとのどかな雰囲気が素敵な美術館で、現代建築ですよ~という感じの建物もポイント高し。地味だが、なかなかセンスのよい展覧会をやってくれるのだ。
アンリ・ル・シダネルの名は、ここ日本ではほとんど無名に近い。1862年~1939年にフランスで活躍した画家で、一見すると<印象派>に与するような淡い作風なれど、よーく観ると、それとはまた別の個性が画の中に息づいているのがわかる。
モネやスーラに学んだと解説には書かれているので、印象派風ではある。しかし、はっきりと異なっているのは、<光のとらえ方>が全然違うのだ。印象派はきらめく自然の光をどうとらえるかを最大の問題としたのに対し、シダネルは、自然の光の中でも月が照らす夜の淡い光だったり、宵闇の中にポッと浮かぶ家の窓から漏れるランプの明かりだったりする。だからキラキラはしていない。しっとりとしているのだ。
初期の作品は人の姿があれど、ほとんどが風景画、もしくは室内の様子を描いたものだ。誰もいない室内の画を見ていると、ふっと、ハンマースホイを想い出す。ただし、ハンマースホイが冷ややかな室内なのに対して、シダネルの方は温かみがあるのが特色で、人は描かれていないものの、人が存在した気配がある。
それほど風景画とか興味がないのだけれど、街角の<夜景>と<水>に強い執着を見せる一面に惹かれるものがある。どこか強迫観念を含んだ "執着" に、きれいなだけじゃない画家の内面を読み取ってしまうのは、こちらの心が歪んでいるせいだったりして???
コメント 0