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アントニオ・ロペス展 [アート]

 スパーリアリズムという絵画のジャンルがある。
 いわゆる細密画なんだけど、それが度を超えてリアルなので、こんな風な言われ方をしているわけだ。
 リアル→スーパーリアル→写真???
 と、無責任に並べてみれば、じゃあ、写真でいいじゃん!! とは浅はかな考えで、スーパーリアルと写真では、やっぱり違うのだ。たぶん。

 「現代スペイン・リアリズムの巨匠」と名前の前にわざわざ書かれたアントニオ・ロペスの作品群は、確かに細かい。それも相当な細かさだ。
 ただ、その細かさは、写真的な表現ではなく、あくまで絵画としての細かさであって、80年代に一時ブームになったスーパーリアル(エアブラシを使ったツルンとした描き方が特徴)とは別のものと考えるべきだろう。
 その証拠に、細密ではあるけれど、作品を遠くから眺めても写真と間違うことはない。
 逆に、絵画特有の筆使いや描き込み具合に驚嘆させられる。単純に、なんでここまで描かにゃあなんないの? とか、半ば呆れてしまう。
 それでも、実際に描き上げられた作品群を目の当たりにすると、そこまで思い入れをぶち込んで描かなくてはいられない画家の異常な熱量にもろ手を挙げて降伏・・・となってしまうのだった。

 広角レンズで撮ったような街の風景もさることながら、一番驚かされたのが、「マリアの肖像」と名付けられた作品。
 まるで30~40年前に撮影されたセピア色の写真を思わせるそれは、少女の表情もそうだが、驚くべきは着ているコートの質感が凄い!! 毛糸の一本一本が塊となり、寒さをしのぐのにうってつけの厚手のPコートが描かれていて、手に取れば重さも、糸の密度も実際に感じ取れるのだ。

 どうやら一つの作品を完成させるのに数年~、長くて10数年もかかるらしく、それを聞いただけで、ああ、納得、、、。


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