CCRと<雨>の関係 [音楽]
本屋で時間を気にせず、お気に入りの本を探すのを、至福の時と考える人間はかなり多いのではないだろうか。
TAOもまたそんな人間の一人であり、ついつい長居してしまうことも多い。
この前、いつものように何か面白そうな本がないか物色していたら、「放送禁止歌」(知恵の森出版)というタイトルの本が目に留まり、パラパラとページをめくってみた。そうしたところ、興味深い記述があったので、ちょっとばかり紹介してみたい。
それはCCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)の超有名曲である「雨を見たかい?」についての、ほんの数行だけの記述だった。ちなみに語り手はデイブ・スペクター。
彼によれば、日本のCMにも何度となく起用されているこの曲の歌詞には、実はもう一つの意味があるという。
それはこの歌詞で使われている<雨=Rain>とは、ベトナム戦争でアメリカ軍が放ったナパーム弾を指し、それが光を発しながら落下する光景を描いていると言うのだ。
作者のジョン・フォガティはこの曲の背景について、当時バンドのメンバーとの均衡が徐々に崩れ始めていたことを告白している。そこから<雨>という言葉に、忍び寄る崩壊の暗い予感という意味を持たせていたことが伺われる。
それでも、デイブ・スペクターの記す通りの意味を<雨>に置き換えてみると、これまで知っていた歌詞の背後から、もう一つの物語が不気味に姿を表して来る。
昨日、そして一昨日も、太陽は冷たく、雨は激しい。
分かってるさ、ボクにとってはずっとそうだったんだ。
そう、分かってるさ、降り注ぐ雨は止められない。
ボクは知りたいんだ、今まで一度だって<雨>を見たことがあるのかい?
晴れた日に降ってくる<雨>を。(一部抜粋 訳TAO)
この曲が発表されたのが1971年。ベトナム戦争が起きたのが1960~75年。たしかに泥沼に足をどっぷり突っ込んだアメリカがそこにあった。反戦運動もピークに達していた時期でもある。
<Rain>・・・と考えて、フッと気がついた。CCRにはもう一曲、雨についての歌がある。
それが「Who'll stop the rain」だ。
先の「雨を見たかい?」に先立つこと一年前の、1970年1月に発表されたこの曲でも、やはり雨を不吉なものに例えている。
ずっと昔から、雨は降り続いている。
重たい雲が大地に混乱を降り注ぐ。
年を重ねた良識ある人たちは、太陽を見つけようとしている。
そしてボクは思う、ずっと思う。
誰がこの<雨>を止めるのだろうと。(訳TAO)
同じような歌詞の内容から、こちらもまた「雨を見たかい?」と同じ比喩と考えられなくもない。
それとも、この曲での<雨>の使い方を再利用して、一年後の「雨を見たかい?」のダブル・ミーニングに結びつけたのか?
二つの曲には歌詞の意味以前に、使われた単語も共通している。
Rain・・・・・・・何か不吉なものを表している。
Sun ・・・・・・・光、希望の意味も含む。
I wonder・・・・「Who'll stop the rain」では一応思うと訳したが、単純に思うなら " I think~" だろうから、不安を感じるとか、危惧するという意味合いで wonder を使ったと推測出来る。
こうして二つの曲を並べてみると、まるで一卵性双生児の如く強い結びつきがあるように思える。
当時発売する曲を軒並みヒットチャートの1位、2位に送り込んでいたCCR。まさに絶頂期だったろう。そのメンバーであり、すべての曲を手がけていたジョン・フォガティの心の中をよぎった言い知れぬ不安感が垣間見れるようで、まことに興味深い。
「Who'll stop the rain」の入ったCCRの最高傑作とも呼ばれる「COSMO'S FACTORY」。
「雨を見たかい?」収録の「PENDULUM」。メンバー間の軋轢のため、すでに崩壊の危機がじんわりと押し寄せて来ていた。今となっては四人が平等に写ったこのジャケットは皮肉に満ちている。
☆ 当時からそういう解釈がありました<雨。CCRというバンド名にも既に環境など次世代を先取りした意識が見られるという点で,このバンドは高く評価されています。
☆ だからつい最近,我が国の資本市場の覇者であるN社が何の気なしにこの曲をCMに使った時にも,そういう事情を知っている口うるさい連中が手厳しいことを書いていたのを見たことがあります。「雨って何のことだかわかって,この曲を使っているのかね?」と。そこには「資本市場のわんこであるお前のカイシャがこの曲を使うとはおこがましい」と言いたげな昔のサヨクの控えめな怒りを感じてしまいました。ではでは。
by deacon_blue (2007-02-11 13:50)
CMに使われている洋楽のほとんどが、何となく雰囲気がいいからというだけで選ばれているのは否定出来ないところだと思います。
ボクがそれはないよな・・・と思ったのが、某ジーンズのCMで、街をさっそうと歩く女性のジーンズ姿が美しく、映像だけ見ている分にはお洒落で好感が持てたのですが、そこに流れてきた曲が「哀しみのアダージョ」(歌・ELZA)で、歌詞の内容は<両親が離婚して、大好きだったパパが自分の前からいなくなってしまうのを嘆く娘の心情>といったものです。
" パパ、行かないで!" と、涙ながらに訴えるサビの部分が繰り返しCMで流れていて、フランス語の歌なので、ほとんどの人は意味が分からなかったとは思います。しかし、当のフランス人が聞いたら、さて、どう思ったでしょうか?
by TAO (2007-02-11 15:58)
CCRも懐かしいです
ただ残念なことに プラウド・メアリーしか
頭に残っていません
by 吉田 司 (2007-02-11 20:34)
ジョン・フォガティのボーカルガ炸裂する「トラベリン・バンド」、反戦歌「ボーン・オン・バイヨー」等、CCRはどの曲を聴いても傑作揃いです。
昨年、仕事先の知り合いがアメリカでジョン・フォガティのライブを実際に観て、凄く感激してました。日本にもぜひ来日しないかな。
by TAO (2007-02-11 22:36)