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『アメリカン家族』(ゴジゲン) [演劇]

 注)今年4月に観たにもかかわらず、書きもらしてしまった作品として


 アンチ友情! アンチ幸福! アンチ家族!
 でも、やるせないほどの青春! 熱血! バカパワー!

 ゴジゲンがいいのは、世間がこうあって欲しい、本当はこうなんだよ、といった、性善説に基づいた予定調和と願望を笑い倒すところである。
 武者小路実篤の『友情』は尊いが、実際、あんなの嘘だって! 女を目の前にしたら、ヤリたさ200%に、自分本位に突っ走るだろうが!!
 みんなそう思っているのに、なんで本音で物を言わないんだよ、お前ら!!! なのだ(笑)

 『アメリカン家族』はゴジゲン主催の松井大吾氏の実話(らしい)をベースにしつつ、ある家族の物語を描く。
 ある日、子どもたちを残して突然家を出て行ってしまった母親。
 残されたのは、暴君の父親と、ヤンキーな長男、何をやるにもドン臭い二男、自閉症の三男。
 長男の誕生日に久々に帰って来た姉、母親の知り合いらしい謎の男、長男の彼女等が入り混じり、歪んだ家族のためのバースデーパーティを開催しようと奮闘する。が、それは今まさに崩壊しようとする家族に対しての、自爆テロのような危険を含んでいた。

 バラバラならいっそ完全に砕け散ってしまえば、いっそせいせいするのだが、現実にはそれもままならず、ほころびた糸を縫い直そうとすればするほど、ますます糸はこんがらがり、手に余ってしまう事態に陥るだけとなる。
 普通の話なら、大きな転機が訪れ、事態を(奇跡的に)修復する方向に向かうはず。それがすなわち定番だから。しかし、ゴジゲンの場合、案の定、そうはならず、混乱は混乱のまま、家族はやはり崩壊したままなのである。
 それでも、代わり映えしない関係の中に、ダメならダメなりに、いいじゃないか・・・的な開き直りが見て取れるラストに、ゴジゲン流の、今が最悪でも、それでもやっぱり明日はやって来ちゃうし! という視点が存在するのが、救いと言えば救いかもしれない。

 
タグ:ゴジゲン
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