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『冬の穴』(ポかリン記憶舎) [演劇]

 会場となったのは、な、なんと、学習院女子大!!!
 ということは、堂々と女子大に潜入(!?)出来るのですね。ああ、ありがたや、ありがたや(笑)
 ついでに記念として正門を撮ってきました。う~ん、なるほど。

 なんていうのは置いておいて、久々のポかリンの新作は、その女子大のホールの入口を利用しての芝居となった。それも葬儀場を舞台にした芝居とな。さてさて、どうなることになりますやら・・・。

 ポかリンの芝居は、ごくごく平凡な日常の中のほんの些細な出来事の断片を切り取り、観客に提示して見せること。それをどう判断するかは観客側に委ねられる。なので人によっては、何の話だったの? と、なりかねないので注意。

 今回の題材は葬儀場。そこで繰り広げられるわずか数時間の出来事・・・。
 本妻と愛人がバッタリ遭遇する。一人の男を巡る対立が静かなフロアで繰り広げられるのだが、それぞれにはそれぞれの言い分がありつつも、言い合いにはならず、愛人はそっとその場を去る。どちらが勝者なのかは定かではない。
 葬式に来ている妊娠した女が、式場のスタッフの学生時代の同級生だったことが判明する。どうしてこの仕事を選んだのかと尋ねる女に、一瞬言葉を詰まらせる男。
 息子の死を受け入れられず、ロビーでじっとたたずむ男。
 それぞれが小さなわだかまりを心に抱え、それでも日常を生きている。
 そんなことをフッと思ってしまう芝居だ。

 すべてとは言わないが、主要な登場人物は多少なりとも心に問題を抱えており、表向きは平穏な様子をしているのだが、ちょっとした瞬間に、ほころびが露呈したりする。
 葬儀場に努める青年はどうやら親と上手くいっていないらしく、かかって来た電話にもすげない。
 その様子をたまたま見ていた老婦人は、親が生きている間に、一度、ちゃんと話をすべきだと、優しく諭す。しかし、ロビーでうなだれる子どもを亡くした父親は、すべての人が分かり合えるというのは嘘っぱちで、分かり合えないことを受け入れ、お互いが距離を取るのも一つの方法だろうと告げる。寄り添うのが優しさならば、寄り添わないのもまた優しさ足り得るのではないのか? そんな二人の堂々巡りもあったりする。

 今回の芝居は、これまでに見られた、後味の悪い<謎>の種のような展開にはならないけれど、人が生きてゆくことに対しての落ち着いた観察眼のようなものが見受けられて、こちらもまた興味深かった。

  
タグ:ポかリン
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