牧野邦夫 -写実の精髄- 展 [アート]
すっかりアートづいてます。
ここぞとばかりに、
「会田誠 天才でごめんなさい展」 (六本木 森美術館)
「エル・グレコ展」(東京都美術館)
「アントニオ・ロペス展」(渋谷文化村 ザ・ミュージアム)
「ラファエロ展」(国立西洋美術館)
そして、この、「牧野邦夫 写実の精髄展」(練馬区立美術館)を撃破!!!。
ここ数か月は観どころのある展覧会が目白押しだったので、まさに観まくりでした。
人気の高い作品展の場合、どうしても混んでしまうので、基本、有給休暇を取って観にゆくといったことになり、で、そうそう有給休暇も取れないので、一日2か所を巡るなんてのもざら。
それにしてもお年寄りの多いこと。結局、わざわざ有給休暇を取っても、お年寄りの集団にもまれながら観るはめにもなりかねないのが、ちょっとツライ。
牧野邦夫という画家、NHK日曜美術館で紹介されるまで知りませんでした。
多分、練馬美術館を訪れた多くの方がそうだったに違いありません。それくらい一般的な人気からは遠い人だったようです。
なぜ人知れず、、、なのかという疑問は、残された作品群を観れば、おおよそ理解出来ます。
牧野作品の特徴を端的に表すと、
①居間に飾れない
印象派の諸作品のように、観ていて心が癒されるとか、きれいだなあ~とか、絶対に思えない。
②グロテスクな内容
多くは人物画もしくは、人物が登場するのだが、ちんこが出ていたり、はじっこで男女がセックスに耽っていたり、悪魔が下界を覗いていたりと、まるで現代版「ダンテの地獄篇」かいな! と想像してしまったりさせられる内容が下品。
③背後にいるのは誰?
人物画の背後に、誰かいる。幽霊のようなそうじゃないような。もしかして精霊? それとも記憶の残像?
④服にも霊が・・・
人物画の服にも人の顔がある!!
⑤繰り返し描かれる自画像
エゴン・シーレも自画像の多い画家だったけれど、牧野も自画像が多い。というか、自画像ばっかりじゃないの! それも騎士の鎧を身にまとっていたり、ピエロのようであったり、コスプレするのもいいかげんにしろって! まったく、自分、描き過ぎだろうが!
⑥ヌードもあるけど
若い女性のヌードもあるが、陰毛までリアルに描かれていて、生々しい。
などなど・・・。
この人の作品には、他者からの視線を気にする気がまったくない、というか、欠落している。
そもそも他者の存在自体が視野に入っていないとでもいえばいいのか。
自分の内へ内へと視線が潜り込むさまは、まるで映画「ミクロの決死圏」ですか???
それと、<聖&性>と<俗>が奇妙に同居した、まか不思議な空間が、キャンバスの奥に広がっていて、そこはまるでラビリンス(迷宮)へ連なる入口のようでもある。
刺激、強過ぎだろうが!!!
と、つい<R18指定>に認定してしまいたくなる作品郡は、それでもやっぱり唯一無二。
社会性のない岡本太郎か?
などと揶揄(やゆ)したくなるが、それでも強烈に観る者を魅了することも事実だ。
異端、侮りがたし!
きっと異端は異端のまま、これからも<無冠の帝王>として、君臨し続けるに違いない。
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