「グランド・マスター」 [映画]
ウオン・カーワイ久々の映画です。
それもカンフーもの。
ということは、単なるカンフー・アクションではないですな。
この映画、実は一般的な評判はすこぶる悪い。
仕事先の人も何人か観て、
「う~ん・・・ アクションじゃあないんだよねえ」
「スローモーションばっかり。それも夜のシーンばっかり」
と、冷淡なコメントばかり。
でも、鑑賞券買っちゃったし、ウオン・カーワイ好きだし、これまで全部観てるし(キムタク主演のやつだけ例外)・・・。
と、恐る恐る劇場に足を運んでみたら・・・
これが、面白い!!!
オープニングの雨の中でのイップ・マン(トニー・レオン)の決闘シーンから、キターッって感じで、わくわくしてしまった。えしまった
ウォん・カーワイ監督の最大の持ち味はスローモーションだと思う。
古くは、サム・ペキンパー監督やイタリアのヤコペッティ監督等が多様したスローモーションを、さらに洗練させ、華麗にお色直しして、我々の目の前に提示して見せた。
特に今作は、クローズアップの妙も注目すべきところで、雨の雫や、足元にたまった水たまり、それが跳ねるところと、まるで静止画の決めのポーズが永遠と続くかのようで、目が離せない。
イップ・マン演じるトニー・レオンもカーワイ監督とは長い付き合いで、アジア映画のスターここにあり! の、オーラを身にまとう。まさに<静かなる男>の面目躍如である。
一方の、チャン・ツィィーも、アジアを代表する女優に成長し、ここでも八卦掌(はっけしょう)の使い手として、華麗な技の数々と、美貌を惜しみなく披露している。
この2人を中心に、これまたカーワイ監督の常連であるチャン・チェンが、中国国民党員で八極拳の使い手として、荒々しい技を披露する。ちなみに彼のエピソードは本筋とは関係ない。多分、編集時にカットされてしまったのか、それとも気まぐれな監督のこと、エピソードを膨らませる前に終えてしまったかのどちらかに違いない。それでも、その存在感は主役の2人を食うほど強烈だ。
アクション・シーンも十分面白いが、それと同様に、トニー・レオン演じるイップ・マンとチャン・ツィイー演じるゴン・ルオメイの敵対関係ながらもお互いに惹かれ合う心情が美しい。それゆえに、拳法家の父親の後継者であり、なおかつ父親のかたきである形意拳の使い手マー・サンとの対決後のゴン・ルオメイの運命には心が痛む。映画の中でははっきりとは語られていないものの、前後の流れを理解すれば、すぐに気づくはず。涙なくしては語れない・・・。
余談ながら、ボクのまわりでこの作品を観て、面白いと言った人、なし!
ネットでの評判もかんばしくない。
でも、昔からのカーワイ監督ファンならはまること請け合い。
絶対に面白いですよーっ!!!
コメント 0