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『俺はまだ本気出してないだけ』 [書評]

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 なんか、わかるよなあ~というタイトル。

 思えば、自分の希望通りに、豊かな人生を送っている人って、どれくらいいるのだろう?

 子どもの頃は、宇宙飛行士になりたいだとか、電車の運転手、野球選手、ケーキ屋さん、とか、明確にあったりしたのだけれども、中学生になると、なんとなくそれがぼやけてきて、曖昧になってしまう。

 このコミックの主人公は、40歳で突然会社を辞め、突如、漫画家になると宣言。
 しかし、漫画家になることが子どもの頃の夢だったかというと、どうやらそうでもないらしく、なんで漫画家なの? と、家族に問われて、自問したりしてしまう。

 その上、肝心の漫画が下手!
 当然、ボツになる。
 
 口の悪い父親、娘との三人暮らし。
 ハンバーガーショップでアルバイトをしている。

 そんな漫画は、<いい年こいて自分探し>かよ、と、呆れもするが、この主人公のように、突然の辞表提出、まわりの迷惑かえりみず、漫画家ーっ!!!
 なんて、誰でも一度や二度は考えたことがあるはずだ。
 それが若いうちはいいが、結婚して、子どもが生まれ、、、と、どんどん逃げられなくなってしまうんだよね。
 かといって、じゃあ、結婚もせず、独身だからって気楽かというと、そんなこともないのであって、結局、どっちに転んでも身動き取れないぞ、と。

 大人になっちゃったけど、なんか違和感があるんだよなあ~という思いを抱く、すべての中年に捧げる挽歌なこの作品に、大声では言えないけれど、共感を覚えてしまう、ワタシも中年。


 ※ 堤真一主演の同名映画もいい感じです。



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