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『地獄でなぜ悪い』 [映画]

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 まず、タイトルがいい。
 まるでアメリカン・フィルムノワール(ノワールってフランス語だけど)を思わせるような、いかにも悪党が出ています的な感じがよく表現されている。
 
 そして、内容は、60年代の日本映画をもろ意識した作りになっていて、オープニングで映し出されるスタッフの書き文字なんかモロにそれ風。パロディなんてもんじゃなく、まんまやっちゃいました! とでもいうような心意気が嬉しい。

 ストーリーは、
 ①生涯に一本、傑作をとれるなら死んでもいいと豪語する自己チュー丸出しの青年の物語。
 ②子役の娘が親の不祥事でCMを下ろされ、それから10年後、すっかり不良娘に成長した彼女を主演に、映画を撮らなければならなくなったヤクザの組長の物語。
 この二つが交互に描かれ、ある一点で交叉、本物のヤクザの殴り込みを撮影することになったから、さて、どうする? 
 映画の神様は我を見捨てていなかった! と、ばかりに、ついに撮影はスタートするのであった。

 ここでもヤクザは銃じゃなくて、日本刀でしょう! と、まるで大石内蔵助率いる赤穂義士の面々を彷彿させたりもしつつ、いざ、敵陣に殴り込むのであった。
 一方、迎え撃つ堤真一率いるヤクザは、着流しに日本刀という、こちらも輪をかけてジャパニーズ・テイスト満載。
 この対立するヤクザの決闘が、外連味(けれんみ)ありあいで、大いに楽しめる。流れる血の量は日本映画最大か? とにかく大量なのである。ということは、死人の数も半端じゃなく、まさに大量殺人ゲームなのだった。
 ここまでやってくれるとかえって気持ちいい。心スッキリ、カタルシス~!!!

 また、組長の娘を演じる二階堂ふみが、ハスッパなのにどこか憎めない可愛さを持っていて、適役。この人、『脳男』でもサイコな役を演じていて、それに続いてこの役なものだから、若いのにすっかり<怪女優>の貫録を漂わせていて、稀有な存在になっている。無理やり例えるなら、昔の梶芽衣子(『女囚さそりシリーズ!』)かな。ちなみに沢尻えりかがやっても面白かったかも(by ヘルタースケルター)。

 これまでひと癖もふた癖もある、エンターテインメントとは異なった作品を撮ってきた園子温監督が放つ、超娯楽大作。
 お前ら、くだらない映画ばっかり撮ってんじゃねえよ! と、あまたいる商業監督に文句言い言い、自分が一番くだらない作品を撮ってしまう男気に、男に興味のないワタクシも、惚れ込んでしまいました!!!

 
 
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