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『死の舞踏/ルー・リード』 [音楽]

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             『死の舞踏(Sally Can't Dance)/Lou Reed』(1974)


 フランク・ザッパだけは日本盤を買え!
 これは昔、ロックフリークたちにとっては、不文律と化した言葉だった。
 なぜ日本盤なのか?
 それはライナーノートがめちゃくちゃ面白いから。
 それを読むだけで輸入盤よりも高い日本盤を買う価値があったから。
 八木康夫氏のイラストと解説のぶっ飛び具合がハンパじゃなかったのだ。

 だいいち、邦題からして破天荒だ。

 「ONE SIZE FITS ALL」⇒「万物同サイズの法則」
 「WEASELS RIPPED MY FLESH」⇒「くたばれイタチ野郎」

 なんて最高だし、そもそもザッパの曲のタイトル自体が反則技のオンパレードだったりするんだけどね。

 で、ここで紹介するのはザッパ、、、じゃなくて、ルー・リード。

 じゃあ、なんでこんな話を最初に持ってきたかというと、中古で購入した『死の舞踏(Sally Can't Dance/Lou Reed』(日本盤)の解説があまりにおそまつだったため。個人的な思い入れ以外、まったく読むに値しないライナーノーツ、邦訳なしでは、ただでさえ高い日本盤を購入する意味なんてないだろうに。

          ★          ★          ★          ★          

 前置きが長くなったが、この『死の舞踏(Sally Can't Dance』(1974)は、ルー・リードのソロとしての4作目に当たる。
 ◆ベルベット・アンダーグラウンド脱退後、本来ならベルベット用に書いていた曲を含む『ロックの幻想(LOU REED)』(1972)。
 ◆デビッド・ボウイのバックバンドである、スパイダー・オブ・マーズのギタリスト、ミック・ロンソンの手を借りた耽美的退廃の宴、『トランスフォーマー』(1972)。
 ◆ボブ・エズリンがプロデュースして、ベルリンの街で繰り広げられる男と女、そしてもう一人の男の三角関係をロック・オペラとして描いた『ベルリン』(1973)。
 この3作で、ベルベット・アンダーグラウンド時代からルーリードの代名詞だった、ドラッグ、同性愛、都市生活者の暗部といったものを、一通り吐きだしたと思う。どの作品も商業的に成功とはいかなかったようだが、クオリティはどれもかなり高かった。個人的には「ワイルドサイドを歩け」を収録した『トランスフォーマー』よりも、デカダンの匂いをプンプン振りまく『ベルリン』が彼の最高傑作だと思う。

 とはいえ、そうそう<退廃><性倒錯者><ドラッグ>だのと歌っていたのでは、正直、歌う方も聴く方もしんどくなってくる。
 時はディスコブーム。ちょっとばかし肩の力を抜いて、ラフでダルでファンキーなロックンロールをやりたくなったとしても、間違ってはいないだろう(あいかわらず売れないし・・・)。
 かくして、ブラスセクションと女性コーラスを全編にフィーチャーし、ニューヨークの裏通りをスケッチしたような『死の舞踏』が完成したのだった。
 オープニングの「Ride Sally Ride」では、前作『ベルリン』の2曲目「Lady Day」を彷彿させる、場末のしがない店の踊子の様子が描かれる。想像するにトップレス・バーのようないかがわしい店のようだ。
 その曲と呼応するのが7曲目「Sally Can't Dance」で、踊れなくなったサリーがそこにいる。
 それ以外にも、「Kill Your Sons」とか、生々しいタイトルの歌もあり、ストーリーテラー、ルー・リード健在を印象付けたりもする。

 で、やっぱりこの作品もヒットせず。頭にきたのか、自爆したのか、次作は狂気のノイズだらけの音の塊がさく裂する『Metal Machine Music』(1975)を発表し、音楽業界を混沌の渦に巻き込む。ちなみに業界紙では、、、評価不能!!!
 後日、「あれは冗談だった・・・」と、雑誌のインタビュアーに語っていたっけ。
 実はけっこう食えないオヤジなのである(笑)

 
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